Hole In The Wall

カリフォルニア州サンノゼ在のソフトウェアエンジニア。

Volagi vs. Specialized訴訟。

日本でどのぐらい話題になってるか知らないけれど、ここアメリカの自転車業界でたぶん今週一番のニュースがこれ。スペシャライズドの元社員2人が立ち上げたスタートアップの自転車メーカー、Volagiに対して、Specializedが「デザインの盗用」として訴えたもの。
Volagiの唯一のロードバイク、Liscioは見るからに独創的。ディスクブレーキの採用や、シートステーをシートポストに直結しないことでより振動吸収性を増したフレームなど、スペシャライズドのどこを盗用したの?という印象を受ける。さすがにスペシャライズド側もこの争点は不利と考えたのか、最終争点は"breach of contract"、つまりVolagiの創始者2人がスペシャライズド在社中にスタートアップを立ち上げた、ということを争ったもの。
さすがにこれはイチャモンという以外ありえないと思うのだが、juryたちも同意見だったのか、今日の判決では元社員2人のうち一人は有罪、ただし"breach of contract"の賠償金はたったの1ドル。まるで最低のサービスをしてくれるレストランに1セント硬貨のチップを置くようなもの。しかも有罪になった元社員の弁によれば、辞める、と表明したけれど、スペシャライズド側がまだ辞めないでくれと頼んできたそうである(カリフォルニアはat willの雇用なので、辞めると言ったら相手がどう言おうと辞める権利がある)。以下は判決を受けてのスペシャライズド社長のコメント:

We are very satisfied with the outcome and the damages set at $1.00. We really want to put all our passion and time into growing the sport of cycling.

Specialized v. Volagi verdict: Choi liable, Forsman not liable - BikeRadar

これは苦しいw。
シリコンバレーのIT系スタートアップではこの手の裁判は日常茶飯事だけど、ここまで痛快にオチがつく裁判も珍しいかも。