Hole In The Wall

カリフォルニア州サンノゼ在のソフトウェアエンジニア。

レーズン酵母。

最近観ているドラマ、「シェフは名探偵」。ストーリー自体は全て察しが付いてしまうような内容だけれど、出てくるフレンチの知見が面白くて観ている。で、前回のテーマがパン屋さんのやつ。

あくまで本格的なフランスのパンだけを出したいと言う中江は、メロンパンやパン・オ・レは出したくないと頑なだが、それは実は彼女の実家が営むパン屋ーーしかもこの新店のすぐ側にあるーーの看板メニューだったのだ。

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 で、これの1シーン。試食用に持ってきたパンを名探偵シェフが一口食べるなり、「レーズン酵母ですね?」で、この後長男が聞いてきたのは、「パパは区別できる?」

ここで疑問がムクムクと頭の中に。

  1. 「レーズン酵母」って日本のパンレシピでしか見たことないんだけど、「本格的な」フランスパンはこれを使うのか?
  2. 「レーズン酵母」を使ったのと、通常のライ麦・小麦粉から作ったスターター、区別できるのか?

まず1から。英語でサーチをかける限り、発見できたのはこれ関連のみ。

アメリカの著名ベーカーであるJeffrey Hamelmanの本に出てくるレシピがレーズン酵母を使っている。ただしオリジン不明。少なくとも「本格的なフランスパン」とは書かれていない。フランス語でサーチすればあるのかもだけど読めないし。Wikipediaのサワードウの項には、

French bakers brought sourdough techniques to Northern California during the California Gold Rush, and it remains a part of the culture of San Francisco today. 

Sourdough - Wikipedia

 "french"でページ内をサーチしてヒットしたのがこれ。フランスパン職人のサワードウ技術がサンフランシスコにもたらされた、とある。ということはこれに関してはレーズン酵母でないことは間違いない。

続いて2。

日本語の「レーズン酵母」でサーチしてこんな論文発見。

(1)飯塚パンの元種から酵母(飯塚菌、I)を分離同定したところ、一般のパン酵母として知られるサッカロミセス・セレビシアであった。

CiNii 論文 -  レーズンから分離した天然酵母のパン酵母としての特性

この酵母名は聞いたことが。

SACCHAROMYCES CEREVISIAEというイーストが最もドミナント

サワードウ・プロジェクト、その後の後。 - Hole In The Wall

 確かにサワードウプロジェクトの分析と一致。ということはスターターのカルチャーとして出来上がってしまえば区別がつかないことになる。イーストが同じなら発酵して出てくる生産物も同じ。ということで味も同じになるのでは、というのが自分の見解。というか区別する自信なし(と長男には返事した)。使う粉が違えばわかるんだけどなw。

ということで件のシーンは自分的に2重にダウト。まあ自分が間違ってるかも知れないけど。